「40歳を超えたら一度は脳ドックを」と呼びかけられている理由
当クリニックでも呼びかけをしていますが、
脳ドックの受診を意識していただくひとつの目安として40歳というのが、
多くの書籍や記事などに登場します。
高齢になるとさまざまな病気を発症するリスクが高まってきますが、
それはもちろん脳の病気も例外ではありません。
しかし、40歳というと高齢ということもなく、
まだまだ働き盛りで昔と比べると若いと見なされる年齢でもあります。
そんな現役バリバリの40歳を迎えると、一度を脳ドックを
受診しておきましょうと呼びかけられているのはなぜなのでしょうか。
ある雑誌が3,300人の医師に対して、あるアンケート調査を行いました。
その調査の質問内容は、「人間ドックを何歳から受けるべきか」というものです。
その結果を見ると、「40~49歳」というのが56%で圧倒的多数です。
その次には50歳以上というのが16%でつけていますが、
それ以外は40歳よりも若い年齢から受けておくべきという意見でした。
これは人間ドックの受診開始年齢に対する調査ですが、
人間の身体はひとつの大きなシステムとしてリンクしているので、
脳ドックに当てはめることも十分できます。
それでは、56%の医師はなぜ40歳からと答えているのでしょうか。
その回答の中にあった「老化が始まる年齢だから」というものが象徴的でした。
まだまだ現役バリバリの40歳ではありますが、
身体は確実に折り返し点を過ぎて老化が始まっています。
この調査ではその典型例として老眼を指摘しています。
確かに40歳頃から老眼になる人はなり始めるので、
これは目に見える老化のひとつでと言って良いでしょう。
目が老眼になるということは、それ以外の見えない部分でも
確実に老化が始まっているので、それは脳も然りというわけです。
50歳を超えると、すでに何らかの持病を持っている人が多くなります。
特にメタボリックシンドロームに関連する病気を患う人がとても多くなりますが、
これらの生活習慣病は脳の病気との関連性も明らかになっているので、
脳ドック受診の必要性はさらに高くなります。
今は症状がなくても脳の中で何が起きているかを知る方法は、脳ドックしかないからです。
ところで、このアンケート調査では他にも色々な質問をしているのですが、
その中にちょっと面白いものがありました。
それは、医師自身が人間ドックを受けているかという質問です。
なんと、71%もの医師が「受けたことはない」と回答しています。
医者の不養生という言葉がありますが、
やはり健康に関するプロは自分のことになると無頓着になるのでしょうか。
その理由にも目をやると、「そもそも時間がない」「実は精度が低く不満がある」
「検査内容に納得できない部分がある」「他の検査をしているので必要性を感じない」
といった意見があるようですが、どれも何となく理解できるような気もします。
しかし、だからといって検査を受けないことはリスクを見逃して放置する可能性がある以上、
医師として何らかの事情や不満があっても受けるべきだと思います。