02日 2018年 05月
脳卒中のリハビリを少しでも前に進めてくれそうな薬の開発に期待
脳卒中の恐ろしいところは命に関わることともうひとつ、
仮に命が助かったとしてもその後の後遺症に悩まされることが多いという点です。
2004年に脳梗塞を発症してからすでに14年が経っているのに、
いまだ右半身に障害が残ってしまっているミスタージャイアンツ・長嶋茂雄さんの
状態を見てもリハビリが決して簡単なものではないことが伝わってきます。
長嶋さんはプロ野球選手をやっていただけあって身体も頑丈で、
スター性を持つほど豪快な精神力の持ち主です。
それでもリハビリが思うように進まないのですから、
リハビリの大変さと難しさを象徴しているようにも見えます。
これまで脳卒中を発症した後の機能回復というとトレーニングによる
リハビリが唯一に近い治療法でした。
しかし動かなくなったところを動かそうとする努力は相当なもので、
その辛さゆえにやめてしまう人も少なくありません。
そんな中で開発のニュースが飛び込んできたのが、リハビリの効果を促進させる薬です。
すでにマウスやサルの実験では効果が見られるといい、
人間での臨床試験が始まる段階になっています。
リハビリという物理的な治療にはどうしても限界がありますが、
それを内科的なアプローチで手助けするというのは、
とても意義があることだと思います。
脳神経外科医として脳卒中を発症した方のその後の大変さを
よく知っている者としては、さらなる開発の進展に期待します。
ちなみに、このリハビリ効果を高める可能性があると言われている薬は、
エドネルピク・マレアートという化合物の働きを利用します。
このエドネルピク・マレアートという物質はアルツハイマー型認知症の治療薬としても開発が進められており、
脳のさまざまな疾患を解決してくれる薬としてなおさら期待がかかりますね。