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21日 2017年 07月

脳を再生させる医療の時代が到来

認知症の原因となるアルツハイマー病をはじめ、脳に病変が起きると重大な症状に発展する可能性が高く、

それゆえに脳ドックなど脳の健康状態を知ることの重要性が指摘されています。

一般にもこうした意識は浸透してきているので、認知症の兆候をチェックしたり

脳ドックを受診するなど何らかの行動に移す人が多くなりました。

こうした傾向は喜ばしいことですが、すべて病気の予防や進行を食い止めるといった「守り」の医療です。

そんな脳の医療に、ここにきて再生医療という「攻め」の医療が注目を集めています。

一度は病気でダメージを受けてしまった脳を再生し、

機能を回復させることを目的としているので、まさに「攻め」です。

実はこうした再生医療の分野では、日本の医療界が世界をリードしています。

ノーベル賞を受賞したiPS細胞も再生医療への道を開く研究成果として世界から注目を集めていますが、

それ以外にもES細胞などの幹細胞を利用することでダメージを受けた部分、

失った部分を再生する医療の研究は日進月歩で進んでいます。

そこから生まれたひとつの成果が、細胞薬です。

あまり聞きなれない言葉ですが、細胞薬は人の細胞から作る薬のことです。

先ほど述べた幹細胞が持つ再生力を使って、脳などダメージを受けているところに投与をすることで細胞レベルから再生していく薬です。

これが実用化されると、脳梗塞で死滅してしまった脳細胞や、

アルツハイマー病で委縮してしまった脳の再生など、これまで治すことができなかった脳の病気を根本的に治療できるようになります。

まさに夢のような医療ですが、その医療が未来の夢ではなくなりつつあります。

すでに網膜細胞や心筋細胞といった分野では日本の研究チームが特許を出願しており、

これが実用化されると目の病気、心臓の病気に絶大な威力を発揮することでしょう。

もちろん予防すること、進行を食い止めるという医療も非常に重要です。

これからはそれに加えて、「元に戻す」という医療が加わることで治せる病気がもっと増えていくことに期待したいと思います。

11日 2017年 07月

人間は脳のごく一部しか使っていない説って本当?

子供の頃から当たり前のように、「人間の脳はごく一部しか使っていない」と、

ことあるごとに聞かされてきた覚えはありませんか?

だからまだまだ頑張ればもっと勉強ができるようになるというロジックで、

「もっと勉強しなさい」と言われた方も多いと思います。

天才と呼ばれている人は、多くの人がごく一部しか使っていない脳のうち

多くを使うことで超人的な能力を発揮する、という「定説」もあります。

これまで当たり前のように言われてきたことなので疑いの余地も少なかったのではないかと思いますが、

これって本当なのでしょうか?

実はこの説は、事実ではありません。

人間の脳はごく一部ではなく、大部分をちゃんと使っています。

ではなぜ、こんな「定説」が流布したのでしょうか。

そこには、アメリカのテレビ局が仕掛けたキャンペーンがあります。

そのキャンペーンによると、「あなたはまだ自分の可能性をごく一部しか使っていない」という

メッセージを発することで、潜在的な能力を発揮する努力をしましょうと訴えたそうです。

これって、冒頭に述べた「もっと勉強しなさい」というロジックと似ています。

つまり、脳はごく一部しか使われていない説というのは、もっと努力させたい人がつくりだしたフィクションだったのです。

ではなぜ、長らく言われ続けてきた「定説」について改めて事実が明るみにでたのでしょうか。

それを可能にしたのが、MRIやPETといった最新の検査機器です。

人間の脳をこうした検査機器で観察すると、大部分がちゃんと使われていることが見て取れます。

こうした検査機器を使うまでもなく、人間の脳はわずかに損傷をしただけでも重大な症状を引き起こします。

大部分を使っていないのであれば、損傷した部分によっては全く影響が出ないはずですが、

どの部分であっても脳の損傷が障害の原因になることを考えると、やはり脳の中で不要な部分は全くないということです。

03日 2017年 07月

VR(仮想現実)で認知症を疑似体験

テクノロジーの進化により、あらゆるものを疑似体験できる世の中になりました。

特に最近ではVR(仮想現実)の進化が著しく、

専用のゴーグルをつけることでまるでその世界に飛び込んだような体験をすることができます。

このVRはゲームなどエンターテイメント分野での利用ばかりが目立っていますが、

実は他の分野でも活用が進んでいます。

その中でも北村クリニックとして注目したいのは、認知症の疑似体験です。

認知症については決定的な治療法が確立されておらず、

しかもそれまでの人格とは別物になってしまったような症状になることもあるため、

「自分は絶対になりたくない」と思う病気の筆頭格です。

だからこそ脳ドックなど予防医療への関心が高まっているというのも、無関係ではありません。

これだけ関心が高い病気でありながら、私たちは認知症になった本人の立場になって

物事を考える機会は意外に少ないのではないでしょうか。

VRによる認知症の疑似体験は、こうした理解不足や、そこから生まれる偏見などを解消するために開発されました。

以前から認知症になったイメージを「体験」できる試みはあったのですが、

近年のVRの進化は目覚ましく、そこから生まれる疑似体験のクオリティは劇的に進歩しています。

VRだからこそ、これまでイメージできなかった認知症についてよりリアルに感じられるようになった、という声も多く聞かれます。
認知症になりたくない、という多くの人が持っている不安や意識については、これからも持っておくべきものです。

それに加えて、認知症になった人への理解はもっと深まるべきだと考えるので、こうした取り組みは意欲的だと思います。

好きで認知症になった人は誰もいないので、そんな人が少しでも暮らしやすい社会を作っていくことも、

私たち医業に携わる者に与えられた使命だと感じます。

20日 2017年 06月

「満腹中枢」の働きを知ると、ダイエットや健康づくりが見えてくる

ダイエット中の方や生活習慣病の治療をしている方などでは特にそうかも知れませんが、

一般の方にも「満腹中枢」という言葉が広く知られています。

何となく「脳の中にあるもので満腹を感じる部分」という理解をされている方が多いと思います。

これについてはおおむね正解で、脳は食べ過ぎないように体内を自然にコントロールしてくれています。

脳の中には視床下部という部分があって、満腹中枢と呼ばれる部分はこの視床下部にあります。

同じく「空腹になっているので食べなければ」という指令を出す摂食中枢(空腹中枢)も同じ視床下部にあります。

人間は食べ物を食べると、血液の中の糖分が増えます。

これは糖尿病を診断する時によく用いられる血糖値で計ることができるもので、

血糖が上昇すると脳内の満腹中枢が「エネルギー補給を十分にできた」と判断し、

それ以上の食欲を抑えるために満腹感を発信します。

人間が「お腹いっぱいになった」というのは実際に胃の中がいっぱいになったという感覚ではなく、

血糖の上昇によって満腹中枢が発しているサインのことです。

逆に、空腹になってきて血糖が減少してくると摂食中枢がエネルギー補給を指示するために空腹感を発するのです。

人間の身体は、実によくできていますね。

この満腹中枢の働きをしっかりと知っていると、

ダイエットやカロリーの摂りすぎに対する有効な対策ができるようになります。

なぜなら、満腹中枢に満腹感を感じてもらえれば食欲がなくなり、食べ過ぎるリスクを低くできるからです。

満腹中枢の働きを踏まえた上での理想的な食べ方は、

・よく噛んでゆっくり食べる
・野菜から先に食べて炭水化物を最後にする
・ストレス発散に食べ物を利用しない(やけ食いをしない)

などが挙げられます。

よく噛んでゆっくり食べることと、野菜やスープなどから先に食べることは、

糖質の多いものを食べる前に満腹中枢が食欲を抑えてくれるメリットがあります。

食べ始めてから血糖上昇まで20分程度と言われているので、最初にスープや前菜、

サラダなどから始まって時間をかけてメインディッシュに移っていくコース料理はとても理にかなったものだと言えます。

また、ストレス発散に食べ物を利用すると過食になり、

ついつい早食いになるので食べ過ぎてしまう恐れがあるので避けた方が良いということです。

脳は常に人間の身体を健康に保とうと頑張ってくれています。

そんな脳からの指令に従って全身の健康を守る生活習慣を、出来ることから始めてみましょう。

10日 2017年 06月

長期的なストレスは脳を傷つけてしまいます

うつや統合失調など、いわゆる心の病で休職をしたりする事例が多くなっています。

かつてはこうしたメンタルヘルスへの理解がほとんど行き届いておらず、

精神的にキツいからといっても「甘えているだけ」という言葉で一蹴されてきました。

しかし、今はメンタルヘルスへの関心が高まるにつれて、

心の働きが仕事や生活など人間の営みに与える影響が各方面で指摘されています。

そこまでは精神科や心療内科といった心に対する医療分野の話ですが、

実はこうした精神疾患は脳神経外科の分野でもその影響や現象が分かるようになってきています。

うつ病の原因はさまざまですが、最大の引き金になるのは慢性的、長期的なストレスです。

一時的に強いストレスを感じたとしてもそのストレス原因から離れることができれば、

人間は自然にそのダメージを修復します。

しかし、長期的なストレスが同じ原因で掛かり続けるような状態が続くと、

人間はそのストレスに負けてしまうことがあります。

これがうつ病につながるというわけですが、その時に脳の中では目に見える変化が起きています。

うつ病を発症している患者さんの脳内をMRIで撮影、観察すると、

よく見られるのが「帯状回」や「海馬」の変化です。

帯状回は感情や情動をコントロールする部分で、海馬は記憶などを司っています。

脳への直接的なダメージについてはあまり分かっていなかったことですが、

長期的なストレスが牙をむいて脳を傷つけているということが分かると、

「甘えているだけ」という誤解も解かれていくのではないかと思います。

ストレスが体に良くないというのは誰でも理解していることなのですが、

その中でも特に長期的に同じストレスが掛かり続けると脳へのダメージが懸念されるので、

ストレス発散だけでなく環境を変えるなど根本的な解決も視野に入れたストレス管理が必要になると思います。

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