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21日 2017年 12月

病気の治療は体だけではない、アピアランスケアの世界

私たち医師や医療機関の使命は、患者さんの病気を治して健康を取り戻すお手伝いをすることです。

医療技術や設備、薬などはそのためにあります。

しかし、患者さんの病気に対する有効な治療ができても、

心の問題まで克服するとなると私たちだけの力では及ばない部分があります。

その中のひとつが、患者さんの外見に関する問題です。

病気やケガによって本来の外見から変わってしまったことでそれがコンプレックスになることは多々あります。

特にがん患者の方々は抗がん剤の影響によって毛髪が抜け落ちてしまったり、

体型が変わってしまったり、体のむくみなどといった外見の悩みを抱えている人が実に多くおられます。

特に女性は外見のコンプレックスが心に大きな傷を負わせてしまうことが多いので、

それをケアする考え方としてアピアランスケアという医療が注目されています。

アピアランスとは外見、見た目という意味で、

患者さんの見た目をケアすることで精神的なコンプレックスや負担を和らげようという取り組みです。

先日、神戸市内の病院でアピアランスケアが実践された催しがありました。

この病院では外見を美しく見せるための下着やウィッグ、化粧品、ネイル用品などが一堂に会して、

イベントを企画した看護師さんたちが患者さんの外見を美しくするという趣向でした。

このイベントを企画した人の話では、「命が助かったんだから、

と外見の問題を諦める人が多いのを何とかしたかった」とのことです。

この考え方は実に素晴らしいことで、患者さんのQOL向上に大きく資するでしょう。

病は気からという言葉があるように、外見を美しくすることで生きる力も湧いてきます。

生きる力が湧いてくるということは不思議なもので、

病気に直接作用するような免疫力も高まってくるものです。

こうした取り組みは今後さらに広がっていくと思われますが、

医療がサービス業であるという原点に立ち返ると当たり前のことなのかも知れません。

11日 2017年 12月

認知症の患者さんに処方される薬の種類

認知症は脳の病気なので実際に何か変化が見えるわけではないので、

得体の知れない病気というイメージを持つ方が多くおられます。

そのため、「薬を飲めば良くなる」という考えを持っている患者さんや、そのご家族も少なくありません。

しかし、ここでひとつ認識を確かめておきたいのは、「認知症を完治させる薬は存在しない」ということです。

この薬を飲めば効き目に個人差はあっても、いずれ認知症が治るというものがあれば

どんなに良いかと思うのは現場の意見ですが、まだまだ認知症に根本的に効く薬は開発されていません。

それでは、医療の現場ではどんな薬を使っているのかといいますと、それには大きく分けて2つの種類があります。

1つは認知症の原因そのものに作用する薬、もう1つは認知症が引き起こす症状を抑える薬です。

承認されている薬として、アルツハイマー型認知症には現在4つの種類があります。

いずれも脳に作用する薬で、脳の中での情報伝達を助けたり、

認知症を進行させる物質の働きを阻害するものなどがあります。

原因疾患に作用する薬なので、認知症の進行を遅らせたり食い止めたりする効果が期待できます。

もう1つの各種症状に対する薬は、うつ病やてんかんを抑えたり不眠を解消するための薬など、

認知症によって起きている症状を抑えることで症状の悪化を防ぐ目的があります。

まだまだ薬物治療で根本的な治療ができる段階にはありませんが、

それだけに予防が大切であるのは言うまでもなく、認知症リスクを高めない食生活や生活習慣が最大の「薬」です。

02日 2017年 12月

大病を克服した人の社会貢献

人は大病をすると価値観が変わると言います。

一度は失ったかも知れない命なので人のために使いたいと思う人が

多くなるのは自然なことかも知れませんが、そんな話が先日、神戸でありました。

「大阪で生まれた女」という大ヒット曲で知られるミュージシャンのBOROさんは

大ヒット曲のタイトル通り大阪の出身で、現在は神戸市在住です。

このBOROさんは上顎洞という病気で5回も大手術を受けた経験を持ち、さらにはC型肝炎の治療も経験しています。

そんなBOROさんは常々「自分は医療の力で救われた」と語っており、

確かにC型肝炎では新薬による治療が功を奏し、上顎洞は早期発見による治療で命を取り留め、

見事健康を取り戻したのでした。

その経験から、BOROさんはiPS細胞の研究を応援するために募金活動を行っています。

この募金活動には、先端医療や最新の医療で救える命がひとつでも多くなるように、という願いが込められています。

有名人がこうした活動をすることのメリットは、その活動の存在を多くの人が知ることができる点にあります。

BOROさんの活動も兵庫県内を中心に確実に広がりを見せており、

iPS細胞研究を支援しているNPO法人の活動も徐々に知られることとなってきました。

BOROさん自身は自分が大病をした経験から何か貢献をしたかったと語っており、

それが実際の形になって嬉しいとも語っています。

命を落としてもおかしくなかった大病を医療の力で克服したBOROさんですが、

この命が助かったのは、まだやるべきことがあったからと考えることもできますね。

20日 2017年 11月

ご存知ですか?一人酒という「リスク」

このブログではさまざまな依存症についても書いてきていますが、

今回は依存症の中でも国民病といっても良いほど依存症人口が多いアルコール依存についてです。

アルコール依存の怖いところは、アルコール自体がごくごく身近なところにあって

手軽かつ安価に手に入れられることです。

比較の対象にはなりませんが、違法薬物などの依存だと薬物を手に入れること自体が簡単ではないので、

その難しさゆえに依存が進行しないという一面もあります。

ただ、法律で禁止されるほど依存性が強いので少量でも人間を破壊する力は強いのですが。

アルコールは未成年者でなければ誰でも買えて、しかも安価です。

スーパーやコンビニといった身近なところあふれるほど並べられているので、数百円もあれば買えてしまいます。

ここで問題になるのは、一人酒です。

一般的にお酒は複数の人とのコミュニケーションのために飲むことが多く、

この場合はアルコール摂取が目的ではなくコミュニケーションが本来の目的です。

それを円滑にして楽しい気分を増幅するためにお酒があるという位置づけなので依存しにくいのですが、

一人酒は同じものを飲んでいても全く意味合いが異なります。

一人酒をストレス解消やちょっとした気分転換として楽しんでいるうちは良いのですが、

飲酒量が徐々に増えてくると危険信号です。

徐々にそれがお酒を嗜むという習慣ではなく、アルコール摂取という手段に変わっていきます。

一人酒を習慣にしている方は、一人だからといって徐々に量が増えていっていないか、

セルフチェックをしてみてください。

10日 2017年 11月

怒ったりイライラすると血圧が上がる理由

人は怒ったりイライラしていると、「血圧が上がる」と言われています。

あまりにも一般的に言われていることなので本当なのかと

思われる方もおられるかも知れませんが、これは事実です。

怒っている、イライラしているという事実だけが血圧を高くするのではなく、

いわゆる興奮状態になると血圧が上昇します。

これは生物学的に見ても真っ当なことで、目の前に敵がいるなど

臨戦態勢に入らなければならない時には興奮状態になり、血圧が上昇します。

血圧が上昇するということは全身の隅々にまで活発な血流が届くので、戦いやすくなるというわけです。

逆に、リラックスしている時は血圧が下がります。

血圧検査の時に血圧が一時的に高すぎる場合に深呼吸すると良いとされていますが、これも事実です。

血圧はちょっとしたことで上下しているので、興奮すれば上昇し、リラックスすれば下がります。

この血圧変動に関わっているのが、交感神経と副交感神経です。

交感神経が活発になると人は興奮状態になり、逆に副交感神経が活発になると人はリラックスします。

これを、それぞれの「優位」と表現します。

怒って血圧が上がっている時は交感神経優位で、リラックスしている時は副交感神経優位です。

こうした仕組みを理解しておくと、血圧が常に高くなってしまう生活習慣を改めることができます。

血圧が高いままだとくも膜下出血など怖い病気の原因になるので、

できるだけ副交感神経優位になる時間を作るようにしましょう。

副交感神経優位になりやすい行動は深呼吸、適度な運動、入浴、その他リラックスできる行動全般です。

マッサージやアロマなども良いとされています。

癒される時間を多く持てる人は、脳も健康なのです。

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